気管支拡張症の症状

気管支拡張症は、気管支が非可逆的に拡張してしまう病気です。気管支が円柱状や嚢状(のうじょう)に拡張します。肺全体に起こる場合と、局所に起こる場合があります。拡張した部分の浄化能力は低くなり、血管も増殖するため、膿性痰(のうせいたん)や血痰(けったん)が現れます。

  1. 慢性の咳(せき)
  2. 膿性痰
  3. 血痰や喀血

気管支拡張症の場合、慢性の咳(せき)、膿性痰が特徴です。感染が加わると痰の量は増え、1日100ml以上になることもあります。血痰や喀血(かっけつ)もしばしばみられます。慢性副鼻腔炎が高い率で合併し、肺炎や膿胸、肺膿瘍などの肺感染症を合併することもあります。

気管支拡張症の症状が現れるのはずっと後になってからです。普通、症状は呼吸器感染症の後からゆっくりと出はじめ、数年間かけて悪化します。たんを伴う慢性的なせきがみられます。たんの量や性質は、病気の程度や合併している感染症の有無によって異なります。せきの発作はだいたい、早朝と夕方のみに起こります。

喀血は一般的にみられ、最初のまたは唯一の症状ということもあります。気管支拡張症の場合、頻繁な肺炎を伴うかどうかにかかわらず、発熱や胸痛が繰り返し起こります。広範囲に及ぶ気管支拡張症では、喘鳴(ぜんめい)や息切れが生じたり、慢性気管支炎、肺気腫、喘息(ぜんそく)を併発する場合があります。

開発途上国や進行した嚢胞性線維症の患者などに多くみられる、非常に重い気管支拡張症では、呼吸ができなくなり、血液中に酸素を供給し体の外へ二酸化炭素を除去する肺の機能が損なわれます。この状態を呼吸不全といいます。きわめて重い気管支拡張症は、心臓の右心室にも負担をかけるため、肺性心臓病になります。